2007年08月15日
最後の人
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ムルナウの作品は単純な言葉では翻訳することができない。その真価を知る為にはまず見る必要がある。その人間味ある内容と見事なユーモアによって、この映画は興行収入のあらゆる記録を打ち破ることを約束されている。(1924年『フィルム・クリアー誌300号』)
1924年 オリジナル2315m 現存1768m 72分=22秒/コマ
原題:Der letzte Mann
邦題その他:「最後の人」「LAST MAN」「LAST LAUGH」
監督:フリードリヒ・ヴェルヘルム・ムルナウ
脚本:カール・マイヤー
撮影:カール・フロイント
装置:ローベルト・ヘルルト、ヴァルター・レーリヒ
音楽:ジュゼッペ・ベッセ
製作:エーリヒ・ポマー
製作会社:ウーファ社
出演:エミール・ヤニングス(ホテルのドアマン)
マリー・デルシャフト(ドアマンの姪)
マックス・ヒラー(姪の花婿)
エミーリエ・クルツ(花婿の叔母)
ハンス・ウインターキルヒャー(ホテルの支配人)
オーラフ・シュトルム(若いホテル客)
ヘルマン・ファレンティン(太鼓腹の客)
ゲオルク・ヨーン(夜警)
エミー・ヴィーダ(隣人)
ドイツ公開:1924年12月23日ベルリン
日本公開:1926年4月1日
◆ストーリー◆
この映画の主人公はホテル・アトランティックの入り口で、泊まり客の荷物を降ろしたり、自動車を止めて客を乗せたりするポーターの仕事をする老人である。彼はホテルの表玄関に金モールの制服を着て立つこの仕事を誇りにしている。だが彼はもういい年になり、疲れを見せているところをホテルのマネージャーに目撃される。ポーターはアパートに姪と二人で住んでいる。今日はその姪が結婚する日である。朝、金モールの服を着たポーターがホテルに出勤すると、入り口には自分のいる筈のところに別の若い男が立っている。マネージャーに呼ばれた彼はポーターの職を解かれる。彼は金モールの制服を脱がされてしまう。マネージャーの好意で彼は洗面所の掃除夫の職を与えられる。彼は暗い気分で洗面所の中に入ってゆく。姪が結婚したというのに、金モールの制服では帰宅できず、彼は制服を盗み出し、これを着ていつものようにアパートに戻る。翌日、彼は金モールの制服でホテルに向かうが、途中で制服を脱ぎ、それを駅のクロークに預ける。花婿の叔母がホテルにやってきて、入り口のポーターが別の人間になっているのを見て驚く。この噂はアパートじゅうに広がる。駅のクロークから預けていた制服を受け取り、これを再び着てアパートに戻った彼は、人々の冷たい視線を浴びる。そのまま彼は制服をホテルに返しに行くが、真夜中のホテルで、夜警に見つかってしまう。だが事情を察した夜警は、彼が制服を返すのをただ見守る。洗面所の掃除夫として彼はこのまま一生を終えるように見える。映画はこの後、とんでもなお結末をつける。アメリカの億万長者が遺言によってホテルの洗面所の掃除夫に全財産を送ったという新聞記事。これによった大金持ちになった彼は、ホテルで豪華な食事をし、従業員たちに惜しみなくチップを与え、彼に親切にしてくれた夜警を馬車に乗せて去っていく。
◆MEMO◆
■カール・マイヤー脚本の三部作
1921年以来脚本家カール・マイヤーが発展させてきたドイツ室内劇映画(カンマーシュピール)の「除夜の悲劇」「魅惑の街」に続く三部作の最後の作品で着想はゴーゴリの「外套」から取られた。「除夜の悲劇」「魅惑の街」はルプ・ピックが監督をしたが、この作品はムルナウが監督をしたためその個性ゆえに完全なカンマーシュピールとは言えず、やや外側に位置づけられている。
■当時としては最新の移動撮影
ムルナウは撮影機を台車に乗せ滑るような移動撮影を使用した。これほどいかんなく移動撮影の可能性が使用されたことはいまだかつてなく、熱狂した観客の中の一人、若きジャーナリストのマルセル・カルネはこの革命について(1929年)に次のように書いている・・・・
「・・・・『最後の人』ではこの手法のおかげで、暗いホテル・アトランティックの見逃すほど小さな隅まで知ることができた。エレベーターから見下ろされたホールは、動きによって浮かびあがったレリーフの中でその巨大さを示し、回転扉まで近づくと、それを通って私たちはヤニングスの大きな雨傘の下に入るのである。」
■付け加えられたもうひとつの「幸運な結末」
マイヤーとムルナウはこのこの作品に悲劇的な結末を用意していたが、この作品の唯一の字幕によってそれは「あり得ない幸運な結末」とに分けられた。その責任を負うのは主役の老ポーターを演じたヤニングスである。(当時、彼はウーファ社のスターだった。)実際、彼は次のように自伝の中で語っている。
「私はシナリオを変えるべきだと要求した。そして脚本家たちの心配にも関わらず、私はそれを押し通した。・・(中略)・・理由は純粋に芸術的秩序にあった。老ポーターの姿は倒れている人たちを再び起こすことができる悲劇感を持っていなかった。彼はより広範なパースペクティブを何一つ演じないで零落を演じたが、私が必要としたのはまさにそうしたパースペクティブなのです。なぜなら、私はこの世間を信じる必要があるからです!」
そしてヤニングスは「観客が私に理由を与えてくれた!」としめくくっている。
■フィルムの復元
映画「最後の人」には3つの異なるヴァージョンのカメラネガが存在した。一つはドイツ向け、一つは一般輸出用向け、もう一つは合衆国用である。
不完全でしか残っていないドイツ版のネガは、2001/2002年、以下の資料を手がかりに復元された。ドイツ連邦資料館フィルムアルヒーフ(ベルリン)所蔵のオリジナルネガ、ニューヨーク近代美術館所蔵の1936年ドイツでつくられたプリント、フリードリヒ・ヴェルヘム・ムルナウ財団が所有している行方不明のドイツ版プリントのデュープの断片、シネマテーク・スイス(ローザンヌ)が保管しているプリントの断片である。
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ヤニングスが着ていたポーターの制服。帽子や襟にホテル・アトランティックのロゴマークが入っている。
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ヤニングスを撮影中のF・W・ムルナウ。(中央の黒いサングラスと白衣を着た人物)
参考文献
映画祭「ドイツ時代のラングとムルナウ」
世界映画全史10
投稿者 nao : 00:00 | コメント (2) | トラックバック (0) □001.ヨーロッパ映画□
コメント
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投稿者 iertunjvd : 2009年12月26日 10:55
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投稿者 iertunjvd : 2009年12月26日 10:56