超私的映画感想日誌アーカイブス
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 計9本
 10ミニッツ・オールダー(人生のメビウス)
 17歳のカルテ
1980
 2001年宇宙の旅
 21グラム
三つの主題
 5時から7時までのクレオ
七人の侍
 八月の鯨

10ミニッツ・オールダー(人生のメビウス)
■監督:アキ・カウリスマキ、ヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィクトル・エリセ、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダース、スパイク・リー、チェン・カイコー
■出演:
2003年 合作映画 92分 カラー白黒
★★★★☆
◇10分という持ち時間の中で、名だたる監督がそれぞれの個性とテーマを生かして上映。とても10分とは思えない充実ぶりです。10年に1本と言われている寡黙な作家、スペインのヴィクトル・エリセ監督の新作「ライフライン」は一見の価値あり。




17歳のカルテ
Girl Interrupted
■監督:ジェームズ・マンゴールド
■出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー
1999年 アメリカ映画 127分 カラー
★★☆
◇17歳の少女が両親の了解のもと思春期の少女達が収容されている精神病院へ入院、そこで出逢った友達は..。後半の展開で友情なのか何なのか主人公に共感できなかった。
<ネタバレあり> 先日以来、ずっと河合隼雄さんの対談集を読んでいて、精神病棟の患者さんについて少し知ってみたかったので借りてみた。17歳のスザンナは、ある日アスピリン1瓶とウオッカ1本を飲んで自殺を計る。本人は自殺をしたつもりがないのだが、両親の了解のもと女性が収容されている精神病院へ入院することになる。
 彼女の病気はボーダーライン・ディスオーダー(境界性人格障害)。自分でも正常なのか異常なのかわからないままそこで様々な症状の患者と出逢い、自分を取り戻して行く。
この精神病院に入院している女性達の中でもリーダー格の、すごくエキセントリックな存在のリサをアンジェリーナ・ジョリーが熱演..というかものすごい迫力だ。彼女は人の本質を見抜いている、言いたいことをばんばん言う。我慢をしない。目が狂気に満ちている感じで、見ていると怖いのだが、私からすると彼女は間違ったことを言っているように見えない。
 患者の中の一人、おそらく父親と近親相姦の関係にあると思われる少女がこの精神病院を一様、治ったという事で退院していく。
 この少女は退院したあとも手首にためらい傷をたくさんつけている。彼女をめぐる状況も彼女の気持ちもなんの改善もされていないのだ。そこへリサが来て彼女の真実を彼女に向かって激しく突き付ける。誰も口にできない彼女の真実を暴いてしまうのだ。
その翌日、彼女は浴槽で首を吊って死んでいた。
 このあたり・・真実の話しなのかもしれないけれど、胸がむかむかとしてくるような気持ち悪さ。そういう描き方をわざわざすることないのに..という不快感が沸き上がってきてしまう。
リサは冷酷な人間だ...けれど、河合隼雄さんも言っていた。。「死ぬしかないような状態の人もいますが、私はとりあえず死なんといて欲しい..と言う。でも、その人に生きろ..というのは本当に大変な時もあります」と。
 冷酷なようだけれど、私には死によって救われたようにも思えたシーンだった。しかし、この映画は、精神病院の禁断の事情を映画という明るみに出す..という描き方が、ただ受けを狙っているだけの映画のように思えて、安っぽい感じがした。
 正常と異常をさまようスザンナの設定も、「異常と正常」という境界線をはっきりとひいた感覚にも違和感が残った。結局、自分は正常だと思っている人間が異常な人間と思われている人を裁いて好奇に満ちた目で描いているようにしか思えないのだ。ラストに近付くにつれ、そういう感覚になっていくような感じがした。
 退院がせまったスザンナの日記をリサが盗みだし全部読んでしまうのだが、この展開でもう映画全部が台なしになったような気がする。
 もっと人間の赤裸々な魂のような部分を見たかった・・という意味で期待外れの作品だった。ただアンジェリーナ・ジョリーの印象は強烈に残ったと思う。




1980(イチキューハチマル)
監督:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:ともさかりえ、犬山犬子、蒼井優
2003年 日本映画 124分 カラー (CS)
★★☆
 一言で言って、妙チクリンな映画。(笑)しかし、1980年代ってこんな感じだったなあ。。監督のケラリーノ・サンドロヴィッチは本名小林一三という名で「ナイロン100%」とかいう劇団を主宰しているらしい。あとミュージシャンでもあるらしい。   ともさかりえと犬山イヌコ、蒼井優はそれぞれ母が違う腹違いの3姉妹なのだが、長女の犬山イヌコは高校教師、三女の蒼井優はその高校に通う女学生、ともさかりえは元アイドルだが、芸能界に嫌気がさして教師になろうと同じ高校に教育実習に来る見習い教師、そして三人の父親がこの高校の校長という、ギャグのような設定。しかも、ともさかりえの扮する見習い教師は、ちょっと男に弱い淫乱な女で、芸能界でもさんざな男歴があり、おまけに男子生徒を誘惑して関係まで持ってしまう。。。とにかくちょっと格好の良い男なら誰でも良い!!という病的な女。売れっ子の男性歌手とも恋人関係にあったのだけれど、この二人がまた、もう〜〜〜、どーしようもなくしゃっきりとしないだらしない男と女なんだよね。
 とにかくふらふら、ふわふわ〜〜としてて地に足がついていないというか、一番まともな感じは蒼井優の女学生なのですが、彼女が所属している映画倶楽部のメンバーがなんか変。何百万とかけた映画つくりに失敗して、踊りだすシーンなどはちょっと「台風クラブ」にも似ていたけれど、やっぱり80年代って、こういうばかみたいな雰囲気のある時代だったんですねーーとも思うわけであります。ジョン・レノンの暗殺、テクノミュージック、聖子ちゃんカット、なめ猫、ルービックキューブと青春時代を過ごしたものとしては懐かしいけど、ちょっと恥ずかしくなるような映画でしたっっ!でもともさかりえと蒼井優は好きです。(06.01.18)




2001年宇宙の旅
2001: a space odyssey
監督:スタンリー・キューブリック
出演:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド
1968年 アメリカ=イギリス映画 139分 カラー (レンタルビデオ)
★★★★☆
 最近の野口さんのディスカバリーのテレビ映像をみて、借りてきてしまいました。面白かったです。スターウオーズのような活劇とは違って、どちらかというと静謐な映画。それにしても、音楽が偉大〜〜〜。このメロディはよく聞いてはいたけれど、この映画からきていたとは..。ちょっと大げさすぎる感じなのですが、それが、すごく面白い。「おお〜〜〜!!」とか「ほほうーー!!」とか、そういう観客の驚きをモロに狙ってつくっている感じが、実にユニーク。音楽がそれに調子を合わせていて、キューブリックって面白い人だなあという印象を持ってしまった。
 内容は、人間以上の頭脳をもつコンピューター宇宙船の「ハル」と、宇宙飛行士との暗い孤独な宇宙でのやりとり、感情を持つ機械の思わぬ裏切り、それにはまってしまう人間、不思議な宇宙空間・・・とこの時代にこんな面白い想像力豊かな映画があるなんて!!という感じで感心してしまいました。
 宇宙服や宇宙ステーションのデザインなどもこの時代には斬新なものだったでしょうね。センスはすごく良いし、CGなど、全く使っていないのが、もう今の時代にはかえって目新しい印象さえ感じられました。
 野口さんの宇宙空間で作業している映像と、この作品の宇宙空間の映像と、ほとんど変わらないです。飛行士がフラフラと宇宙空間を漂う姿はものすごくリアルで、なにか底なし沼のような感じで孤独で恐ろしい感じがしました。
 「時計じかけのオレンジ」で私にとっては、かなりイメージがダウンしていたキューブリックでしたが、いやー、面白い監督さんですね。この時代の宇宙の物語は「ほら男爵の冒険」や「惑星ソラリス」など未知のものに対する想像力豊かな作品がたくさんあります。(05.08.07)




21グラム
21g
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ
2003年 アメリカ映画 124分 カラー (レンタルDVD)
★★★
 う〜〜ん、ショーン・ペンってどういうわけか苦手。「ギター弾きの恋」は良かったんだけれど・・・だからかわからないけれど、もうひとつ感情移入できなかった。
 人は死ぬ時21グラムほど体重が軽くなるという・・・それは魂の重さ?であるのか・・交通事故で夫と子供二人の家族を失った女性(ナオミ・ワッツ)、加害者である男性(ベニチオ・デル・トロ)とその家族、そして、この交通事故でなくなった人から心臓移植をうけて命が長らえた男性(ショーン・ペン)とその妻・・・3人が主人公です。
 話の進行がラストシーンから始まって、途中でパズルのように時間差のあるシーンがぽんぽん入ってくるので、最初は何がなんだかわからないのですが、最後ではそれでも、しっかりとストーリーがつかめるという・・編集が天才的な手腕といっていいかもしれない。こういうストーリー展開は始めて見ました。最初はショーン・ペンが二役か何かかと思ったほど混乱しましたが・・・
 そういう面白さはあったのですが、「21グラム」の魂の重さについて、この映画では何も感じるものがなかった。ただただ、交差する人間関係が特殊であること、被害者と加害者の当人の気持ちや家族の気持ちはよくわかるのですが、心臓移植を受けた男性が、心臓を提供した被害者の妻とこんな短時間で男女関係にまでなるのかな・・・感覚的によくわからな〜い・・なんかあり得ない恋愛を描いているのが映画としては面白いかな・・と。
 あと、カメラのクリアーなこと。映像が鮮明すぎて、人の肌のきめ細かさとか、皺の1本1本がはっきり映像に映し出されるのも、もう少しぼやけてもいいかなーと思います。好みの問題かもしれませんが..。
 監督はメキシコ人らしい。前作「アモーレス・ペロス」で2000年カンヌ映画グランプリを受賞。なんかまたボロボロに書いてしまいましたが、斬新な映画ですね。(05.08.03)




三つの主題
Trois themes
監督:アレクサンドル・アレクセイエフ
1980年 ロシア映画 7分 アニメーション (DVD)
★★★
 1981年にクレア・パーカーが亡くなり、1982年にアレクセイエフが後を追うように亡くなっているので、この作品が二人の遺作になったらしい。前作の「展覧会の絵」に収められていないムソルグスキーの曲を使用しているけれど、前作とはまた異なった展開を持つ。・・にしてしても、今までの作品の1シーンが集大成のようにフィルムとなって流れるのは、これが最後の作品になると予期してのことかなのでしょうか。(06.08.02)




5時から7時までのクレオ
CLEO DE 5 A 7
監督:アニエス・ヴァルダ
出演:コリンヌ・マルシャン、アントワーヌ・ブルセイエ、アンナ・カリーナ
1961年 フランス映画 90分 白黒 (レンタルビデオ)
★★★☆
 ヌーヴェル・ヴァーグで紅一点のアニエス・ヴァルダの作品。癌かどうか検査を受けた若い女性が、自分は癌であるということに怯えながら、その日の7時に検査が出るのを待つ間を「午後○時○分から○分までのクレオ」というように分きざみでストーリーを展開していく異色の作品。特にそれが何かさしせまった雰囲気をつくっているというよりも、自分が癌かどうか不安に揺れるヒロインの心の彷徨いをうまく演出している。帽子屋さんに行って帽子を次々とかぶってし試着する様子、恋人と自宅で逢う時の素敵な装いや子猫が部屋を走り回っている様子など、いかにも女性監督の細やかなおしゃれが目立ってて良かった。フランス映画の恋愛は幾通りもある..ひとつとして同じでない..というけれど、この映画の展開も、公園で偶然であった帰還兵と結局は一緒に病院に検査結果を聞きに行く..など、なんだかいきあたりばったりの予想外の展開にちょっと驚いた。それでも、ラストはハッピーな気分で終わるのだけれど..。余談ですが、ヒロインの目の離れ具合がピーターに似ているような気がするのは..私だけでしょうか(^_^;; (05.02.11)




七人の侍
監督:黒澤明
出演:志村喬、三船敏郎
1954年 日本映画 207分 白黒 (CS)
★★★★
 随分昔に一度観たことあるのです。というのも西部劇の「荒野の七人」を観て、面白い!!と思ったのは覚えているし、そのあと「七人の侍」を観て、「荒野の七人」よりさらに面白い!こんな日本映画があるなんて〜〜!と思ったことも覚えているのですが、内容がほとんど覚えてないのです。
 あらすじは、良く知られているので省きますが、やはり志村喬の眼力のある演技、三船敏郎のちょっとオーバーアクション気味なんだけど、ほとんど周りが霞んじゃうようなパワーが、なんか爆発してました。侍同士の格式張った礼節からものすごい野生性まで出ていて、すごい迫力があった。
 最初のクレジットの文字から斜めや横の文字がすごく味があって、そのあたりから、もう、うずうずするような興奮がありましたね。三船敏郎が演じる菊千代がラストで死んでしまうのは、意外な結末だったのですが、やんちゃで愛すべき人間だっただけに本当に哀切なものがありました。あそこで勘兵衛を演じる志村喬が死んでいたら..また、映画の視点がずれていたかもしれません。(あり得ないでしょうけど)
 最初観たときは、そのパワーにひきこまれた映画でしたが、ちょっと年を取ってみたこの作品は、少し殺傷シーンが多くてそのパワーにひきづられるような感じでついていけないものも感じた。映画自体がものすごい若さとパワーを持っているので、やはり自分はちょっと年をとったのかなあ〜〜と思ってしまいましたね(^^;; 
 しかし、この映画をつくった黒澤明も、志村喬も、元気いっぱいの若い三船敏郎もすでにみんな故人となっていますが、この映画の中ではこれほどにイキイキと永遠に生き続けている....ということが、やっぱり映画って素晴らしい!と思いました。




八月の鯨
The Whales Of August
監督:リンゼイ・アンダーソン
出演:リリアン・ギッシュ、ベティ・ディビィス
1987年 アメリカ映画 91分 カラー (レンタルビデオ)
★★★★☆
 リリアン・ギッシュ94歳、ベティ・デイビス79歳の時の映画・・・姉妹を演じているのですが、リリアンが妹役、ベティがお姉さん役で、なぜかぴったり合っている。夏の間、孤島の別荘にやってきて過ごしている姉妹。別荘の目の前には海が広がり素晴らしいロケーション。そこには八月になると鯨がやってくるという・・。姉妹は少女時代からその鯨を見に行っていたのです。特に何かあるというわけではないのだけれど、彼女たちを取り巻く数少ない友人達(いずれも高齢のおじいちゃんやおばあちゃん)、そしてそれぞれの思い出の中でのんびりと生きている..という感じでしたが、それがなぜかキラキラ光って見えるのはリリアン・ギッシュの不思議な魅力だと思う。ベティ・ディビスの姉のリビーは気が難しく頑固ものだが、妹のセーラはそれにいろいろ困り、時には喧嘩しながらも仲良く生きている。ベティ・ディビスは実生活でも、このように大変気難しい人で監督としょっちゅう喧嘩していたらしい。そのまま当てこんだ配役でしたが、実は不安におびえているとことがあって、明かに生きているセーラにとても頼っているのだろう感じられた。
 リリアン・ギッシュは90歳を超しているのに、瞳の輝きが昔と変わらない。純粋で無垢な輝きなんですよね。それまでこの人の人生を表すような感じがしました。たとえ、年をとって周りが変化していっても、彼女という人間が変わらなかったのでしょう。それが嬉しかったです。淀川さんも同じ気持ちだったろうなあと思うわけです。年をとるならこんな風にとりたいと思いました。海の近くで住む・・というのも憧れですね。
 リリアン・ギッシュは母親役をやると絶品らしいですね。それもまた観てみたいです。(05.10.30)